ゴキブリは殺すと増える?噂の真実と増やさないための正しい駆除方法をわかりやすく解説
「バチンッ!」とスリッパで叩いたその瞬間、頭をよぎるあの噂。「ゴキブリって、殺すと増えるんだっけ……?」
深夜のリラックスタイムを襲う黒い影。パニックになって思わず叩き潰してしまったものの後から不安になっているあなたへ。あるいは、今まさに目の前のゴキブリをどうやって駆除しようかスマホを握りしめて探していますか?
結論から言うと、「殺すと増える」という噂は、半分は迷信ですが半分は科学的な真実です。
間違った殺し方や、その後の掃除を適当に済ませてしまうと、フェロモンによって新たな仲間が引き寄せられたり、飛び散った卵から赤ちゃんが産まれたりするリスクがあるのは事実です。
この記事では、害虫駆除のプロが実践している増やさないための正しい殺し方と、万が一潰してしまった後の匂い(フェロモン)を完全に消し去る科学的な掃除術を徹底解説します。
このページを読み終わる頃には、今の恐怖は「正しい知識」に変わり、今夜安心して眠れるようになっているはずです。
この記事で分かることは?
なぜ「殺すと増える」と言われるのか?

単なる都市伝説だと思って無視するのは危険です。なぜなら、ゴキブリという生物は死を利用して生を繋ぐ、驚くべきメカニズムを持っているからです。その理由は主に2つあります。
飛び散る卵鞘(らんしょう)の時限爆弾
ゴキブリを叩き潰したとき、白いフワフワしたものや、茶色いカプセルのようなものが飛び出した経験はありませんか? それが卵鞘(らんしょう)です。
ゴキブリの卵は、硬い殻(カプセル)に守られています。特にチャバネゴキブリのメスは、卵が孵化する直前までお尻に卵鞘をつけて持ち歩く習性があります。
もし、卵を持ったメスを叩き潰してしまうとどうなるでしょうか。
親は死んでも、硬い殻に守られた卵鞘だけが衝撃で家具の隙間などに弾き飛ばされ、親の死後にそこから20〜40匹の幼虫が一斉に孵化することがあるのです。
「1匹殺したのに、数週間後に赤ちゃんゴキブリが大量発生した」という悲劇は、この「分離した卵鞘」が原因であることが多いのです。
死に際に放つオレイン酸
もう一つの理由は「匂い」です。ゴキブリは死ぬときや、体が潰れたときに、特有の体液を出します。
体液には「オレイン酸」などの脂肪酸が含まれており、私たち人間には「油っぽい」「腐った醤油」のような不快な臭いに感じられます。
実はこの臭い、ゴキブリにとっては「仲間へのメッセージ」になることがあります。
実は、 ゴキブリは仲間の死骸を食べる習性があります。死骸から出る臭いは、他のゴキブリにとって「ここに餌(死骸)があるぞ」という誘引サインになりかねません。
フンに含まれる集合フェロモン
また、潰した時に飛び散るフンには集合フェロモンが含まれています。
フンをきれいに拭き取らないと、「ここは安全な集合場所だ」という書き置きを残すことになり、外から新たなゴキブリを招き入れてしまうのです。
絶対にやってはいけないNGなゴキブリの殺し方

敵を知ったところで、次は戦い方です。もしあなたが今、新聞紙やスリッパを握りしめているなら、一度それを置いてください。以下の方法はリスクが高すぎます。
スリッパや雑誌で圧殺(叩き潰す)
もっとも一般的で、もっとも危険な方法です。前述の通り、卵鞘が隙間に入り込むと回収不能になります。
また、ゴキブリの体表にはサルモネラ菌や大腸菌など、深刻な病原菌が付着しています。叩き潰した瞬間に、それらの菌が目に見えない飛沫(エアロゾル)となって部屋中に舞い上がり、吸い込んでしまうリスクがあります。
生きたままトイレに流す
「ゴミ箱に入れるのは怖いから」とトイレに流す人がいますが、これもおすすめできません。
ゴキブリは水に濡れると「気門(呼吸する穴)」を閉じて、40分近く息を止めることができます。水流に乗って配管の途中で踏みとどまり、水が引いた後に配管を登って戻ってくる展開も配管の構造上あり得る話です。
また、そもそも生きた害虫を下水に流すことは、環境衛生上好ましくありません。
掃除機で吸い込む
吸い込まれた衝撃では死なないことが多いです。掃除機の中のゴミ(埃や食べカス)を餌にして生き延び、さらに掃除機の排気口からフェロモンや病原菌を部屋中に撒き散らすことになります。
最悪の場合、掃除機の中で卵が孵化し、次にスイッチを入れた瞬間に……想像したくもありませんね。
プロが推奨する増やさないための正しい駆除・処理法

では、どうするのが正解なのでしょうか? ポイントは「体液を出させない」「卵を飛び散らせない」ことです。
冷却スプレーで凍らせて動きを止める
殺虫成分を含まない「凍結スプレー(マイナス85度などで凍らせるタイプ)」がよい選択肢です。
瞬時に動きを止められるので、逃げられるリスクが低いのがメリットです。そして、体を破壊しないので、体液や卵が飛び散りません。
また、殺虫成分を使っていないため、小さなお子様やペットがいる部屋やキッチン周りでも安心して使えます。
ただし、凍らせただけでは蘇生する可能性があるため、動かなくなったらすぐに後述の「密封処理」を行ってください。
距離を取って殺虫スプレー
凍結スプレーがない場合は、通常の殺虫スプレーを使います。この時、真上からかけるのではなく、逃げていく進行方向(頭の先)に向かって噴射するのがコツです。
ゴキブリは後ろには下がれません。
密封処理して即廃棄
動かなくなったら、トイレットペーパーなどを多めに使って包み(直接触らないように!)、ビニール袋に入れます。
ここからが重要です。
- ビニール袋の中に、念のためもう一度殺虫スプレーをワンプッシュします
蘇生防止と、万が一卵が孵化しても袋の中で死ぬようにするため - 袋の口を固く縛る
できれば二重にして密封
部屋のゴミ箱には放置せず、すぐに屋外のゴミ箱へ捨てるか、ゴミの日までベランダなどの屋外で保管します。
潰してしまった後のリカバリー!フェロモン除去掃除術

「この記事を読む前に、パニックで潰してしまった……」
そんな場合でも、まだ間に合います。ただの水拭きでは落ちない「匂い」と「フェロモン」を消し去りましょう。
アルコールで溶かして拭き取る
フローリングやテーブルなどアルコールが使える場所なら、アルコール除菌スプレー(エタノール)が最強です。
ゴキブリのフェロモンや体液(オレイン酸)は、いわば油汚れです。水と油は混ざらないため、濡れた雑巾で拭いても、汚れを薄く塗り広げているだけになってしまいます。
アルコールは油を溶かす性質があるため、フェロモンごと溶かして拭き取ることができます。除菌も同時にできるので一石二鳥です。
死骸があった場所を中心に、半径50cmくらいの広範囲にスプレーし、ペーパータオルで外側から内側に向かって拭き取りましょう。
台所用洗剤で分解して洗い流す
アルコールがない場合やキッチンの床などでは、台所用洗剤(中性洗剤)が有効です。洗剤に含まれる界面活性剤が、フェロモンの油分を包み込んで(ミセル化)、水に溶ける状態にしてくれます。
濡らした雑巾に洗剤を数滴垂らし、泡立ててから現場を拭きます。その後、洗剤成分が残らないように水拭きで仕上げてください。
仕上げのハッカ油で結界を張る
掃除の仕上げに、ゴキブリが大嫌いなハッカ油や柑橘系の香りのスプレーを吹きかけておくと、忌避効果(寄せ付けない効果)が期待できます。
見失ってしまった夜、安心して寝るための緊急対策

「殺そうとしたら、家具の裏に逃げ込まれて見失った……」
これほど絶望的な状況はありません。しかし、家を捨てて引っ越すわけにもいきません。今夜を乗り切るための対策をお伝えします。
部屋を明るくしておく
ゴキブリは夜行性で、光を嫌います。電気代はかかりますが、部屋の照明(できれば豆電球ではなく全灯)をつけておくことで、彼らが活動しにくい環境を作れます。
毒餌(ベイト剤)を設置する
見失ったゴキブリは、隙間でじっとしています。「ブラックキャップ」などの毒餌タイプを、家具の隙間や冷蔵庫の横に設置しましょう。
これは「食べて巣に戻ってから死ぬ」ため、死骸を見る必要がなく、さらにそのフンを食べた仲間も道連れにするため、見えない巣ごと駆除できる最強のアイテムです。
寝室にバリケードを作る
寝室のドアを閉め、ドアの下の隙間にタオルをつめます。ゴキブリは数ミリの隙間があれば侵入できますが、物理的に塞げば入ってこれません。
これで心理的な安心感を確保しましょう。
翌日、くん煙剤を使う
今夜は無理でも、「明日の朝、バルサン(くん煙剤)を焚こう」と決めておくことが精神安定剤になります。部屋の隅々まで隠れたゴキブリを一掃する唯一の手段です。
まとめ
「殺すと増える」という言葉に怯える必要はありません。正しい方法で対処すれば、リスクはゼロに近づけることができます。
凍結スプレーなどで体液・卵を飛び散らせずに仕留めるのが鉄則です。そして、アルコールや洗剤を使い、フェロモンという名の「油汚れ」を完全に除去します。
ゴキブリとの戦いは、1匹倒して終わりではありません。もし、「頻繁に見かける」「赤ちゃんゴキブリがいる」という場合は、家のどこかに巣があるサインかもしれません。
その場合は、市販薬での対処に限界があるため、プロの駆除業者に依頼して、巣の根絶と侵入経路の封鎖(防除)を徹底することを強くおすすめします。
正しい知識と冷静な対処で、あなたの大切な家を守り抜きましょう。
よくある質問
ゴキブリの卵は殺虫スプレーをかけても死なないのですか?
残念ながら、ほとんど効きません。 卵鞘(らんしょう)は非常に硬い殻で守られており、一般的な殺虫剤の成分を通しません。だからこそ、物理的に潰して卵を撒き散らさないこと、そして発見したらすぐに袋に入れて密封・廃棄することが重要なのです。
赤ちゃんゴキブリを1匹見つけました。親も近くにいますか?
その可能性は極めて高いです。 クロゴキブリやチャバネゴキブリの幼虫は、孵化してからしばらくは集団で生活する傾向があります。1匹いたということは、近くに卵鞘が孵化した場所(巣)があり、そこには兄弟たちと親がいると考えた方がよいでしょう。毒餌(ベイト剤)を設置して、巣ごと駆除することをお勧めします。
